おかげさまで、創立70周年。

一般社団法人 愛知広告協会

2014年5月開催終了 第62回全広連名古屋大会

第8回(令和2年度)
愛広協実践広告ワークショップ 実施報告

講義風景(第7回)

テーマ

「広告を仕事にする」

8回目をむかえる本ワークショップは、新型コロナウイルス感染状況下で、初めてオンライン(ZOOM使用)で開催しました。

 

2月27日(土)の第1講座で、クライアント1名・クリエーター2名の計3名の講師(審査員)がご自身の仕事内容や企画の立て方等をレクチャーし、実践的な課題テーマをオリエンテーションしました。

 

受講生から、3月26日(金)までに課題テーマに沿って企画を立て、その内容をパワーポイントやPDFに自身の企画としてまとめ、指定されたURLへ送って頂きました。 作品の中には、自分が説明しているような動画に仕立てたり、音声データを加えて送って頂いた作品もありました。

 

全26作品を4月3日(土)に、協力会社の㈱インディアソシエイツ・スタジオで4名の審査員に審査して頂き、熱心な議論の上、優秀作品を選定して頂きました。

 

この審査には、在京の須田審査員にZOOMオンラインで参加して頂き、また、名古屋からは新たに岩田正一審査員にも加わって頂き、計4名の審査会となりました。

 

受講生全員が投票で選ぶ「学生審査員賞」については、応募作品をまとめてサイトに一定期間掲載し、そのサイトへ受講生がアクセスすることにより、全作品を視聴してもらい、「最も優れた作品」と思われる作品の受付番号を、グーグルフォームで投票して頂きました。

 

成績優秀者は、4月15日(木)に開催された(一社)愛知広告協会4月定例理事会において「AICHI AD AWARDS 2021 ONLINE 学生広告賞」の受賞者として決定されました。

実施概要

名称

第8回(令和2年度)

愛広協実践広告ワークショップ―広告を仕事にする

主催

一般社団法人 愛知広告協会

協力

株式会社新東通信、株式会社インディ・アソシエイツ、公益社団法人全日本広告連盟

目的

広告業界を目指す人材の育成を目的とした、学生を対象にした広告ワークショップ。講座内では実践的な課題を提示しコンペティションを実施する、広告業界の"今"を学ぶ講座の開設。

開催場所

株式会社 インディ・アソシエイツ

講座日程

第1講座[2月27日() 9:50~17:30]

(株)メニコン1名、クリエーター2名の計3名の講師から広告業界の現在の環境をレクチャー、プレゼンテーション課題を発表。

 

審査会[4月3日() 9:50~17:30]

受講生

公開応募による、愛知県下の大学11校の学生

第1講座:28名

プレゼン作品提供者:26名

講義風景

《第1回講座 2月27日(土)》


課題テーマ

「みる・みえる・みせる・みられる」の観点から、

五感に訴求する「みる」の感動を提案せよ

講師及び審査員プロフィール(敬称略)

《講師及び審査員》

田中 英成 たなか ひでなり

株式会社メニコン 代表執行役社長

 

1959年10月30日生まれ。1987年3月 愛知医科大学医学部医学科卒業。

日本初の角膜コンタクトレンズを開発した株式会社メニコンの創業者である田中恭一(現会長)の長男。眼科医として病院勤務、眼科医院開業を経て1994年株式会社メニコンの取締役、2000年、代表取締役社長に就任。日本初・世界初となる商品を発表すると共に、業界内世界初の定額制会員販売システム「メルスプラン」を発案し、130万人を超える会員を擁する規模にまで育て上げ、会社の事業基盤を安定させた。その一方で、スポーツ文化支援活動として日本クラブユースサッカー東西対抗戦(U-15)「メニコンカップ」や「メニコンスーパーコンサート」等への特別協賛を継続し積極的な貢献を果たしている。

現在は、シンガポール共和国在名古屋名誉総領事として国際交流や親善にも貢献している。

2010年6月からは、メニコンを従来の監査役会設置会社から中部圏初となる「指名委員会等設置会社」に移行させ、取締役代表執行役に就任している。

2015年6月25日に東証一部・名証一部に上場を果たす。

2004年4月から日本コンタクトレンズ協会の会長を約13年間務め、コンタクトレンズ業界の健全な発展と産業の振興に尽力し、国民の厚生福祉の増進に貢献した功績が認められたことから、平成30年春の褒章にて「藍綬褒章」を受章する。

須田 和博 すだ かずひろ

株式会社博報堂
ブランド・イノベーションデザイン局
エグゼクティブ・クリエイティブディレクター/スダラボ代表

 

1967年新潟県生まれ。1990年博報堂入社。アートディレクター、CMプランナーを経て、2005年よりインタラクティブ領域へ。2014年スダラボ発足。同ラボ第1弾「ライスコード」で、アドフェスト・グランプリ、カンヌ・ゴールドなど、国内外で60以上の広告賞を受賞。2015年スダラボ第2弾「トーカブル・ベジタブル」、第3弾「パニックーポン」も、アドフェスト、スパイクス・アジア、アドスターズ、ONE SHOWなど多数受賞。2015年大塚製薬ポカリスエット「インハイ.TV」で、ACCインタラクティブ部門ゴールド受賞。2016〜17年 ACC賞インタラクティブ部門・審査委員長。2017年 東京広告協会「広告未来塾」第1期塾長。著書「使ってもらえる広告」アスキー新書。

𡈽橋 通仁 どばし みちひと

株式会社電通中部支社

グループクリエーティブディレクター/アートディレクター

 

名古屋の山崎デザイン事務所に10年間在籍。2008年電通中部支社入社。近年の仕事は、メニコン/シヤチハタ/中京TV/藤田医科大学/三和交通・TAXI WHISTLE/葵鐘会・Mother Book/マクドナルドハウスを名大病院へ2億円募金CP/他多数。賞歴は、カンヌライオンズ・グランプリ他、国内外で多数。カンヌ審査員等多数歴任。

《審査員》

岩田 正一 いわた しょういち

株式会社新東通信スケッチ 代表取締役

プロデューサー/クリエイティブディレクター/コピーライター

 

1959年大阪生まれ。 「企業・団体・個人のビジョンを描く」ということをテーマにした「スケッチ」という会社を設立。企業のコミュニケーションにおけるコンサルティング、各種ブランディングを中心にしたクリエイティブ・ビジネスに携わっている。ブルーミング株式会社「顧問」、新東工業映像研究所TAKUMI「取締役」、事業構想大学院大学「特任教授」、名古屋造形大学「非常勤講師」、名古屋コミュニケーションアート専門学校「教育課程編成委員」、宣伝会議コピーライター養成講座「講師」、学生団体ISIK「顧問」、PRINCESS SAMURAI of JAPAN あいち戦国姫「事務局」、名古屋ナモ締め「事務局」など。

審査員講評

 

田中 英成

 

株式会社メニコン 代表執行役社長

『五感でものをみる』という当たり前過ぎることを人は普段意識せず生活しています。故に今回の「これをテーマにプロモーションを考えなさい」とのお題は、正直言って学生にとって難しい課題だったのかも知れないと思っていました。ところが、心配を他所に多くの学生が真面目にこの難題に取り組み、個性的なアイディアを色々創出してくれたことを私はとても嬉しく思いました。

 

プロモーションとは、マーケティング戦略の一部ですが、それは単に広告に留まらず、企業のアイデンティティーが強く反映されてこそ、これに共感する多くのステークホルダーから強い支持を得て、認知度を高めて売上増にも寄与するというフローを作ることだと思います。その為には、クリエイターは、表現の自己満足に溺れずクライアントと同じ立場で問題解決に向き合い、しかしながら、市場に決して迎合しない、新たな価値を創造する弛まないチャレンジが必要となります。そして、クリエイターは、クライアントの歴史や文化を知り尽くすことで彼らですら気付かない強みと弱みをあからさまにできた時、優れたプロモーションのヒントを漸く見付けることができるのかも知れません。

 

戦略の立案には、事実の分析と仮説の検証が必要です。これを上手く結び付けるのが論理です。それには必ず起承転結があり、まるでドラマのシナリオの様でもあります。

コピーライターとは、著作を生み出す人のことです。これからも、まだまだ多くを学ぶ学生には、是非とも世の中の様々なことに、より関心を持って接し、時には深掘りをしながら、『知識の引き出し』を増やす努力をしてもらいたいと思います。また、グラフィックデザインを学ぶ学生には、コンピューターグラフィック全盛の時代にあっても、敢えて手書きによるアナログ作画に拘って研鑽してもらいたいと思います。皆さんの未来への飛躍と大いなる活躍を期待しています。

 

須田 和博

 

株式会社博報堂

ブランド・イノベーションデザイン局

エグゼクティブ・クリエイティブディレクター/スダラボ代表

早いもので、例年開催のこの「広告を仕事にする」セミナーと企画プレゼンのコンペも、今年で8年目。来年で9年です。前回の講義の後の、学生の皆さんからの企画プレゼンの実施タイミングからコロナ禍になり、初のオンライン審査。まさか、そのまま1年つづくとは、予想もしませんでした。数年間という貴重な学生時代の丸1年以上を、コロナによってリアルな環境での学びの機会を奪われている皆さまには、本当に何と言って良いかわかりません。「新しい日常に合わせた、新しい学びを!」と、年配の者が言っても空々しいのですが、ヘコたれずに、クサらずに、ご自身のペースで着々と学ばれますよう!

 

その極めて特殊な環境の中で、学びの日々を過ごしている皆さまに、何を伝えたら少しでも役に立てるのかな、、と思いながら、講義と審査をしました。「見るの広告史」と題した須田の講義は、課題に取り組むためのヒント100連発のつもりでした。視覚に関する歴史的な名作広告を多数お見せしたのも「迷わずに基本的なアプローチをするとしたら、こう」という教科書のような例を見せた方が良いのかも、と思ったからです。今の若い世代は、昔の広告に触れる機会がほぼない、と聞き、ネットで掘ればいくらでも見つけられる時代だけど紹介者がいないと、その掘る「きっかけ」すら得られないのかもしれないな、と考えました。

 

今回の課題は、歴代でももっとも難問だったと思います。難問というか、自由度が高いゆえに、どう取り組めば良いか判断に困った学生の方も多かったように見受けました。でも実際は困ることはなく「どんなアプローチもアリなんだ!」と喜んで良いハズの課題です。「問いがあって、ハッキリと正解の形がある」のが従来だとすれば、コロナが突然やってくる現在は「ハッキリした正解の形がない」時代です。田中社長が講義でおっしゃったように「非常識でなければ」答えにたどり着けない。

 

そんな中、グランプリを受賞した多良さんは、きわめて真っ向からまっとうに田中社長の講義をとらまえて分析した取り組みでした。その真っ向ぶりは誰もやっておらず異彩を放っていました。グランプリ作というものには他のどれとも似ていないブッチギリのヌケ感と、平均的秀才ではないイッちゃってる感が重要なポイントだと常々思っており、議論の結果、グランプリに推させていただきました。おめでとうございます。

 

例年であれば、リアルでプレゼンをお聞きして、その場でコメントを述べさせていただくのですが、今回、リアルの場がなく、学生の皆さまにはプレゼンした実感が得にくいということで、運営スタッフの方から「個別に審査コメントを」と、依頼がありました。素晴らしい配慮で、学生の皆さまへの愛情を感じます。コメントがキツい部分もあるかもしれませんが、リアルの場だったらもっとキツかったかもしれないので(笑)、ご勘弁ください。

 

𡈽橋 通仁

 

株式会社電通中部支社

グループクリエーティブディレクター/アートディレクター

昨年のオンライン審査に続き、今年は全てリモートでの実施。

運営側の皆さんのご苦労は相当なものでした。

審査を担当させていただく我々も、通年の熱量を学生のみなさんに届けられるのだろうか?というところからスタートしましたが、参加学生のみなさんからのアンケートを拝見し安心しました。

学生の皆さんからのあたたかい言葉は本当に励みになりました。

 

「みる・みえる・みせる・みられる」の観点から、五感に訴求する「みる」の感動を提案せよ。

この課題は、過去の中でもかなり難易度が高いものでした。

 

1ヶ月の制作期間を経て、審査で応募作品を拝見した時に驚きました。

個性的で良いアイデアが多かった。

私の審査基準は、メニコンならではのアイデアであるか?コンペの中で記憶に残るインパクトやオリジナリティはあるか?人を動かすか?などでした。

 

そんな中でのグランプリとなった多良くんの作品に関して記載します。

グランプリ作品は、オリエンの時の課題発表で田中社長がお話した環境問題への取り組みもしっかり受けとめ、整え、世の中に伝えようとしていました。

 

思考のデザインと行動のデザインを同時に設計しようとしていたことが良かった。

 

いくつかのメッセージを、1つのカタチに「集積しようとしている」思考回路が伝わってきました。

 

たくさんの情報を集積して「シンプルイズベスト」の形にしようという姿勢。

 

そのあと、人を動かしお店に誘引したいと、メッセージを受け取る側のことを思い描いて考えているいるところを高く評価しました。

(クリアファイルに関しては、アイデアの定着に不足している部分を感じたので、多良くんにはアイデア例をお伝えしました。)

 

オリエン時、田中社長からのお話にあったメニコンの環境問題への取り組みの話など、膨大な情報量を整理するのはむずかしかったはず。

 

この環境下、この難しい課題の中で。秀作がひしめくコンペとなりましたがその中でのグランプリ。お見事です!

 

岩田 正一

 

株式会社新東通信スケッチ 代表取締役

プロデューサー/クリエイティブディレクター/コピーライター

第8回目の実践広告ワークショップも、新型コロナウィルスからの回復ができず、第1講座の課題出題~講義がオンラインで行われました。

世の中の変化を身につけた学生たちは、学校の授業同様に日常のこととして、慣れた雰囲気で受講をしていました。令和という時代が、オンラインとリアルが同居したハイブリッド型の時代なのだということがこの講座ひとつとっても現れているのだと思います。そして、この時代の変化は、広告の変化にも結びついているように感じます。

新聞、雑誌、テレビ、ラジオというマスメディアでの表現から、交通広告やイベント・プロモーションと立体的に表現の場が広がり、いまでは、オンラインの世界へと進化しています。広告の手法も複合的で多彩なメディア活用となっています。

第8回の実践広告ワークショップでは、企業の代表でありながら、クリエイターとしての才能を持ち合わせたメニコンの田中社長が出題者でした。「みる・みえる・みせる・みられる」ということからメニコンという企業、または、メニコンの商品やサービス、システムをどう表現するか.....。これまでの課題から考えると「難解で、提案の幅が広い」ものになりました。学生は「広告主は何に問題を感じてこの課題としたのか」「何を求めているのか」ということから考えなければなりません。少し前の学生であれば「理解することが難しい」のではなかったかと感じます。

審査は、第2回講座はなく、事前に提出した提案資料を審査員それぞれが熟読した後に、オンラインで審査会を行うというものでした。審査に入って気づいたのは、課題が難しかったこともあり、よくできている学生と理解が不足している学生に大きく別れることとなったということです。提案も、企画書、音声付きの企画書、動画という形式がありました。提案からも時代の進化を感じました。そうした中、評価の高い学生は、企業や商品を総合的にみて提案することができていました。単純なテレビCMやポスターの表現ではなく、立体的に広告を捉えていることが伺えました。

そういう視点から考えると、コピーライターやデザイナーやCMプランナーではなく、総合的に広告を考える時代が本格的にはじまったのかもしれないと感じた2020年度でした。

 

AICHI AD AWARDS 2021 ONLINE 学生広告賞

GRAND PRIX

多良 仁志 愛知学院大学


SECOND PRIZE

菊田 光我 名古屋学芸大学

菊田光我_プレゼンテーション.pdf
PDFファイル 2.5 MB

今野 敬太 南山大学

今野敬太_プレゼンテーション.pdf
PDFファイル 2.3 MB

SPECIAL AWARD

メニコン賞

土川 京香 金城学院大学


プロモ&アクティベーション賞

中尾 絵梨香 椙山女学園大学


企画賞

丸山 蓮 愛知大学

丸山蓮_プレゼンテーション.pdf
PDFファイル 963.5 KB

戦略賞

纐纈 航 龍谷大学

纐纈航_プレゼンテーション.pdf
PDFファイル 1.1 MB

アートディレクション賞

菊田 光我 名古屋学芸大学

菊田光我_プレゼンテーション.pdf
PDFファイル 2.5 MB

デザイン賞

井川 寧々 名古屋学芸大学

井川寧々_プレゼンテーション.pdf
PDFファイル 21.9 MB

コピー賞

鈴村 莉子 名古屋学芸大学

鈴村莉子_プレゼンテーション.pdf
PDFファイル 18.3 MB

ダイレクト賞

塚本 桃子 名古屋芸術大学

塚本桃子_プレゼンテーション.pdf
PDFファイル 13.0 MB

イラストレーション賞

鈴村 莉子 名古屋学芸大学

鈴村莉子_プレゼンテーション.pdf
PDFファイル 18.3 MB

インサイト賞

梶田 歩 名古屋造形大学

梶田歩_プレゼンテーション.pdf
PDFファイル 14.8 MB

アイデア賞

高山 紗希 中京大学

高山紗希_プレゼンテーション.pdf
PDFファイル 1.4 MB

学生審査員賞

今野 敬太 南山大学

今野敬太_プレゼンテーション.pdf
PDFファイル 2.3 MB

過去の実施報告