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一般社団法人 愛知広告協会

2014年5月開催終了 第62回全広連名古屋大会

第10回(令和4年度)
愛広協実践広告ワークショップ 実施報告


※ホームページ制作の都合でPPTファイルで制作された方もPDFファイルに変換しております。

テーマ

「広告を仕事にする」

第10回(令和4年度)愛広協実践広告ワークショップは、2月11日(土)に第1講座、3月18日(土)に第2講座を25名の受講生を集め、無事終了しました。

 今回敷島製パン(株)の講師から出された課題は、「超熟シリーズの価値の再解釈とそれに基づいたコミュニケーション策の提案」というもので、難題だったにもかかわらず、独創的なアイディアが多数発表されました。

 講座終了後、ただちに審査会を開催し、『AICHI AD AWARDS 2023 学生広告賞』の選定を実施。4月の愛知広告協会定例理事会での承認を得て、グランプリ、準グランプリをはじめとする各賞を決定しました。

実施概要

名称

第10回(令和4年度)

愛広協実践広告ワークショップ―広告を仕事にする

主催

一般社団法人 愛知広告協会

協力

株式会社新東通信、公益社団法人全日本広告連盟

目的

広告業界を目指す人材の育成を目的とした、学生を対象にした広告ワークショップ。講座内では実践的な課題を提示しコンペティションを実施する、広告業界の"今"を学ぶ講座の開設。

開催場所

株式会社新東通信名古屋本社

講座日程

第1講座[2月11日(土) 9:50~17:30]

敷島製パン(株)1名、クリエーター2名の計3名の講師から広告業界の現在の環境をレクチャー、プレゼンテーション課題を発表。

第2講座[3月18日(土) 9:50~16:30]

審査員と受講生を前に一人7分の制限時間内に「制作した広告作品」をプレゼンする。

受講生

公開応募による、愛知県下の専門学校・大学6校の学生

第1講座:24名

第2講座:22名

講義風景

《第1回講座 2月11日(土)》

プレゼン審査風景

《第2回講座 3月18日(土)》


課題テーマ

「超熟シリーズの価値の再解釈とそれに基づいたコミュニケーション策の提案」

講師及び審査員プロフィール(敬称略)

《講師及び審査員》

高橋 知博 たかはし ともひろ

敷島製パン株式会社
営業DX推進部長

 

1993年に敷島製パン(株)に入社。営業部に配属となりローカル、全国チェーンを経験後、製品企画グループマネージャー、営業課所長、営業部長を経て、2020年9月から現職。
デジタルコミュニケーション、営業DX推進、新規チャンネル推進担当の部署を管轄。
デジタルコミュニケーションを通して、企業ブランドや製品カテゴリーブランドの更なる価値向上を目指している。

須田 和博 すだ かずひろ

株式会社博報堂
プランド・イノベーションデザイン局/UoC
エグゼクティブ・クリエイティブディレクター/スダラボ代表

 

1967年新潟県生まれ。1990年博報堂入社。アートディレクター、CMプランナーを経て、2005年よりインタラクティブ領域へ。2014年スダラボ発足。同ラボ第1弾「ライスコード」で、アドフェスト・グランプリ、カンヌ・ゴールドなど、国内外で60以上の広告賞を受賞。2015年スダラボ第2弾「トーカブル・ベジタブル」、第3弾「パニックーポン」も、アドフェスト、スパイクス・アジア、アドスターズ、ONE SHOWなど多数受賞。2015年大塚製薬ポカリスエット「インハイ.TV」で、ACCインタラクティブ部門ゴールド受賞。2016~17年 ACC賞インタラクティブ部門・審査委員長。2017年 東京広告協会「広告未来塾」第1期塾長。著書「使ってもらえる広告」アスキー新書。

𡈽橋 通仁 どばし みちひと

株式会社電通中部オフィス

グループクリエーティブディレクター/アートディレクター

 

名古屋の山崎デザイン事務所に10年間在籍。2008年電通中部支社入社。近年の仕事は、メニコン/シヤチハタ/中京TV/藤田医科大学/三和交通・TAXI WHISTLE/葵鐘会・Mother Book/マクドナルドハウスを名大病院へ2億円募金CP/他多数。賞歴は、カンヌライオンズ・グランプリ他、国内外で多数。カンヌ審査員等多数歴任。

審査員講評

高橋 知博

 

敷島製パン株式会社
営業DX推進部長

参加いただいた学⽣の皆さん、お疲れ様でした。

「広告を仕事にする」という学⽣さんと社会とが繋がる機会を創る、この取り組みは素晴らしいと感じました。3年振りのリアル開催とのこと。熱のこもったプレゼンに圧倒‧感⼼させられっぱなしでした。元の世界に戻ることはありませんがリアルの良さを再認識しました。

今回、「超熟シリーズの価値の再解釈とコミュニケーション策の提案」を課題としました。今後、広告を仕事にされる皆さんだからこそ、プロにお願いする課題そのものという観点でのテーマアップです。ですから、第1講座では市場規模や当社の歴史、これまでのマーケティングの進め⽅など多岐にわたり、また、詳細にお伝えしました。その上で、範囲は⾃由、好きなように発想‧着眼してくださいとお願いをしました。逆に、これがプレゼン内容を考えるにあたって⼤変だったかもしれません。

一ヶ月間、Pascoのこと、そして超熟のことを考えてくださり、ありがとうございました。超熟を⾷べすぎました、ずっと頭の中から離れることが無かった、などの感想は、嬉しい反⾯、苦しめてしまったかもしれませんね。改めて感謝するとともに努⼒に⼼から敬意を表します。

22名からご提案をいただき、その何れにもオリジナリティーがありました。ブランドの変えてはいけない核の部分を残しながらもオリジナリティーのある提案が多くありましたし、持続的成⻑のためにはという着眼点も多くありました。いちクライアントとしても「採⽤します!」と⾔いたくなるものが幾つもありました。

「何が正解かわからなくなり苦労しました。」という感想を多く聞きましたが、正解は1つではありません。企業や商品への認知や好意度を⾼め、企業‧商品の価値を⾼めることを⽬的としている場合においても、⽣活者にとってどういう状態か(未認知‧認知未購⼊‧⼀般顧客‧ロイヤル顧客)と商品がどういう状態か(導⼊期‧成⻑期‧成熟期‧衰退期)。これらを組み合わせても幾通りの考え⽅‧施策があります。企業と取り組む場合は課題を共有しながら共創していくことが重要です。

須⽥さんが仰っていた、「そこに気づく事ができるか、拾えるかというセンス」という「傾聴⼒」にも磨きをかけて欲しいと思います。今回の経験が将来⾶躍するきっかけとなれば幸いです。数年後、「これ⾯⽩いな〜、凄いね〜」という広告に皆さんのお名前を⾒つけることを楽しみにしています。

須田 和博

 

株式会社博報堂

ブランド・イノベーションデザイン局/UoC

エグゼクティブ・クリエイティブディレクター/スダラボ代表

まずは3年ぶりのリアルでのプレゼン、参加生の皆さま、おつかれさまでした。丸3年で、すっかりテレカンに慣れたとはいえ、やはりリアルでプレゼンしてもらえることで、ご本人の熱意や性質などが伝わって来ましたし、直接、質疑やコメントができて良かったです。さて、総評でも述べましたが、全体を通して拝見して、いくつか気になった点を列挙しますので学びのヒントとしてください。

 

1.ご自身の新メッセージ開発を。

せっかくのブランド見直し提案なのだから、考えた方向性に合致した「新メッセージ」を自分で書いたら良いのに…と何度も思いました。多くの方が「余計なものは入れない」を、そのまま掲げており、それだけ評価され愛されているブランドメッセージだとも言えますが、これはブランド・コミュニケーション提案をするのが課題のコンペなので、現コピー・現タレント・現CM世界観などをそのまま使っているのは、とても「?」でした。

 

2.ロジックからアウトプットへの一貫性を。

ロジックを積み上げる学習が行き届いているようで、多くの方が上手に前段の論理構造を積んでいましたが、それがメッセージやアウトプットの案につながっていない例がいくつか見られました。せっかく着眼から表現まで一人でできる機会なのですから、分断させずに一貫した提案になっていて欲しいです。「両方はできない」という方は無理にロジカルな前段を、それらしく作らなくても良いのではないでしょうか。得意技で勝負するいろんな戦い方のバリエーションがあって良いと思います。

 

3.見て書いて広告の文法を覚える。

コピーの話法や、ビジュアルとコピーが関係し合う広告の文法が、身についている人が少ないのは、日常的に広告に接する機会が減っているからなのかな…と気になりました。平成の頃のように紙媒体の広告を見たり、唸るようなコピーに接することがないのかな、と。図書館で90年代や00年代前半の「コピー年鑑」などをめくって見ることをお薦めします。昔は新人教育で「写経」と言って、良いと思ったコピーをキャッチとボディ丸ごと書き写すトレーニングというのがありました。スマホ時代には馴染まないかもしれませんが、書き写してる内に自分のコピーも書けるようになるのです。コピー力を鍛えたい方は、試してみてください。

 

4.アイデアの細部から考えても良い。

ロジックを積んで大きなアイデアに至るのも大事ですが、このルートに忠実だと得てしてアイデアが跳びません。考え続ける内に突然ひらめいたものや、ワクワクしてどうしてもやりたい案などは大切です。悪ノリして頼まれてもいないところまで細かいネタを作り込んだりするのも大事。本当の広告では施策に接する人は、前段の論理を聞いていません。店頭やメディアで出会い頭にハッとするか、スルーするかだけです。だから振り向いてもらえるアウトプットを作らないと、そもそも届かない。いいアイデアを思いついて、なぜその案を良いと思うのかをひたすら自問しつづければ、おのずと論理にたどり着きます。

 

「面白い!」は細部の仕上げにかかっています。でも細部だけに夢中になると「ブランドの本質」とズレる。このチェックバックを何往復、自問自答しつづけられるかで、アイデアの強度が変わります。鍛錬は結果に出ます。

 

広告はいま苦難の時代かもしれませんが、チャンスは常に転がっています。「広告を仕事にする」ことに、一人でも多くの若い方が魅力を感じていただければありがたいです。

 

𡈽橋 通仁

 

株式会社電通中部オフィス

グループクリエーティブディレクター/アートディレクター

 実践ワークショップを受けてくれた学生のみなさん、本当にお疲れさまでした。今年も、あそこまでの頑張りを見せてくれたことに幸せを感じております。

 第二講座プレゼン開始前の朝。集合時の緊張感をおぼえていますか?

私たち審査員側にも、みなさんの緊張感と真剣さがビシビシと伝わってきていました。

毎年その空気を感じとるたび、真剣でより公平な審査を実現するためにどう進めていくべきか?常に考え直すきっかけになっています。学生時代にこういった貴重な経験ができたことを忘れず、ご自身の財産にしてくださいね。

 みなさんのプレゼンを聞いている間は「すごく良い実用的なアイデアだな」とか、「絞ったら面白くなるのに惜しい!」とか。私も頭の中でみなさんと会話しながら7分のプレゼンをじっくり聞かせていただきました。

 プレゼン後の質疑応答時間。私からみなさんに最後に質問させていただいた「しんどかったこと」と「得たものを」をどちらか教えてくださいという問いに、全員が堰を切ったように両方の感情を話し始めてくれたのがとても印象的でした。行動に裏付けされた感情が乗った言葉は、強くて心に響きました。

 オリエンを受けてから1ヶ月ちょっとの間。店頭を調べアイデアからアウトプットまで、考えに考え抜いて全力で取り組み、本物のプロを目の前にして、プロの疑似体験をする緊張感。そしてその後の解放感。「緊張と緩和」でホッと笑顔になりますよね。私はその感覚が好きです。しんどいけど30年続けられた理由の1つです。あの感覚もどうか忘れないでくださいね。

 あの時もらった意見は、来年以降の受講生の為に活かせるよう協会やスタッフのみなさんと話し合い、この取り組みの質を高めていくことをお約束します。

 最後に。

 10年間このワークショップに携わってくれた講師や協会の皆さま。場所や技術や時間を惜しみなく提供してくださった広告業界の皆さま。そして毎回学生たちに参加を呼びかけてくれている各大学の先生たち。皆さまの支えがあったからこそ10年間続けることができました。支えてくださった皆さまに感謝しております。ここ数年で、このワークショップの卒業生と一緒に仕事をする機会に恵まれており、学生からプロになって、第一線で活躍している姿はとてもたくましく感じます。

本人たちは、毎日のように緊張する日々を送っている様子です(笑)。

 これからも、皆さまと一緒にこのエリアの若い人材を育てていければ幸いです。

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